セッション時間非公開のパーソナルジムの順位付けを厳しく変更しました
GYM FINDERは、公式サイトにセッション時間が公開されていないパーソナルジムの評価を、これまでより厳しくしました。1回1,500円前後で地域最安を名乗りながら、実際のトレーニングは10分ちょっとだった店があることが分かったためです。掲載店の1回料金と1分単価の中央値、目的ごとの分数の目安もあわせてまとめます。
なぜ評価を厳しくしたのか
GYM FINDERのエリア比較は、これまで料金・続けやすさ・通いやすさ・指導品質の4つで総合評価してきました。この4つの評価基準はこれからも残します。変えるのは、公式にセッション時間が載っていない店の扱いだけです。
きっかけは、1回1,500円前後で地域最安を名乗りながら、セッション時間を公式に出していない店でした。カウンセリングまで進むと、その1,500円のメニューはトレーニングが10分ちょっとしかなかった、という例が出てきました。公式サイトを何ページ読んでも分数が出てこない書き方になっているケースもあります。
1回1,500円と聞くと安く見えるでしょう。けれども10分ちょっとと50分では、指導の密度も総量も別物です。同じ「1回」という言葉で並んでいるように見えて、中身の長さがまったく違います。10分ちょっとでは、ウォーミングアップとクールダウンを除くと本題はごく短く、フォームの確認とセットを1〜2本やって終わる分量になりがちです。
「1回いくら」だけが目立つと、時間が短いメニューほど最安に見えてしまいます。比べる側からすると、同じ土俵に乗っていない数字を並べていることになりかねません。最安を謳うなら、セッション時間も公式に出して、同じ条件で検討できるようにすべきです。ホームページを見た時点で1回の長さまで分かる状態が、本来のスタートラインでしょう。
これからは、公式サイトにセッション時間が載っていないパーソナルジムの評価を、これまでより厳しくします。エリア比較の順位にも、この方針を反映する予定です。順位を下げるのは排除ではなく、公平に並べるための変更です。料金の数字は残したまま、その数字が何分の対価なのかを見る、という順番にします。
安い店を否定したいわけではありません。続けられる料金と、ちゃんと指導を受けられる時間の両方がないと、結果にはつながりにくいからです。
1,500円のパーソナルジムなんてどう考えてもおかしい
安いパーソナルジムを探している方に、先に伝えたいことがあります。1回1,500円を30分で出すと、どう考えても経営が成り立ちません。マンツーマンで部屋を使い、トレーナーが付きっきりになる以上、回転で稼げる回数にも限界があります。
計算の前提は次のとおりです。1回1,500円で、1枠は30分です。この単価だと、セッションの間に休憩や準備を入れる余裕はありません。営業は月20日。家賃は、価格を抑えたパーソナルジムが都内で探す10万円前後。人件費は、東京都の最低賃金1,226円(2025年10月改定)です。6本・8本は指導している時間だけ、1日を埋め切る本数は8時間拘束で見ます。光熱・広告・備品は、安い店でも月6.5万円は見ておく、という推定です。
1枠30分の人件費は約613円です。売上1,500円から引いても、家賃より前に残るのは約887円しかありません。1日6本なら月の売上は18万円、8本でも24万円です。休憩なしで8時間を30分枠で埋めると16本、月48万円まで伸びます。一方、セッションの間に10分の入れ替えを入れると、同じ8時間で回せるのは12本まで減り、売上は月12万円落ちます。人件費は1日拘束のままなので、入れ替えを挟んだ分だけ赤字が増える計算です。
| 1日の本数 | 入れ替え | 月の売上 | 人件費 | 家賃 | 光熱・広告6.5万円を足すと |
|---|---|---|---|---|---|
| 6本 | なし | 18万円 | 約7.4万円 | 10万円 | 赤字 |
| 8本 | なし | 24万円 | 約9.8万円 | 10万円 | 赤字 |
| 12本 | 10分ずつ | 36万円 | 約19.6万円(8時間) | 10万円 | ほぼゼロ |
| 16本 | なし | 48万円 | 約19.6万円(8時間) | 10万円 | 残るが、休憩も記録も取れない |
1日6本でも8本でも、光熱と広告を足すと赤字です。入れ替えを挟んで12本に落とすと、トレーナーはほぼ1日拘束のまま売上が月12万円減り、残りはほぼゼロになります。休憩なしで16本まで詰めても、次の方までの時間は残りません。フランチャイズ料が乗る店なら、この時点で確実に赤字でしょう。つまり30分1,500円では、準備の時間を取る余裕がない働き方になります。
だから、1セッションを30分以下に削って枠数を増やす必要が出てきます。プロテインの購入をお願いして物販で埋めるか、広告の1,500円は入口にして本契約は別料金にするか、どこかで帳尻を合わせる店もあるでしょう。広告の1,500円だけ見て通い始めると、契約の段階で別メニューを勧められる、という流れにもなりやすいです。
低単価のまま本数を稼ごうとすると、トレーナーは1日の枠を限界まで埋める働き方が必要になります。私自身、パーソナルトレーナーとして色々な働き方をした経験から、本数を増やすよりも1人あたりを長い時間担当するほうが心身ともに働きやすいと思いました。本数を稼ぐ場合には、お客さまごとに話題も方針も切り替える必要があるので、疲労はとんでもないことになります。
良いトレーナーは、高単価で働きやすい環境を選ぶこともできますし、独立して自分で作ることもできるでしょう。低単価で収入が少ないパーソナルジムに所属し続ける理由がありません。安さだけで選ぶと、担当がすぐ変わるリスクまで抱えることになるでしょう。相性が良い人を見つけても、数ヶ月で辞めてしまっては意味が薄くなります。
掲載ジムで見る、料金帯と1分単価
1,500円がどれだけ外れているかは、GYM FINDERに掲載している店の数字と並べると分かります。ここからの全国値は、閉業店を除いた掲載中の店舗からその場で集計しています。
全国の1回あたり料金の中央値は8,360円です。セッション時間の中央値は60分になります。1分単価の中央値は158円です。
東京に限ると、1回あたりは8,250円です。1分あたりは155円という水準になります。1,500円は、この中央値から大きく外れた数字です。30分で割ると1分50円になり、掲載店の1分単価中央値のおよそ3分の1まで落ちます。安さの広告として目立っても、同じ土俵の数字ではありません。
下の図は、掲載数が一定以上ある都府県の1回あたり中央値です。広告の1,500円を左端に置いてあります。
同じ店を、1分単価でも並べます。1,500円を30分で割った50円を左端に置いてあります。10分で割ると150円になり、東京の中央値と同じ水準まで上がります。短い枠は、見かけの最安でも時間あたりでは安くない、ということです。
| エリア | 1回あたり中央値 | セッション時間中央値 | 1分単価中央値 |
|---|---|---|---|
| 全国 | 約8,600円 | 60分 | 約155円 |
| 東京都 | 8,250円 | 60分 | 150円 |
| 大阪府 | 8,900円 | 60分 | 162円 |
| 愛知県 | 11,550円 | 55分 | 193円 |
| 福岡県 | 10,863円 | 60分 | 215円 |
| 沖縄県 | 5,500円 | 50分 | 104円 |
沖縄のように1回5,500円台のエリアでも、1分単価は100円を超えます。1,500円を30分で割った50円は、掲載店の分布から見ても説明が付きません。分数が出ていない店の1,500円は、この表のどこにも置けない数字です。
選ぶ基準はどうしたらいい?
では、分数と料金をどう見ればよいか。先に目的から、必要な長さの目安を押さえます。そのうえで、1回の金額を分数で割ると、本当に安い店が見えてきやすくなります。掲載店の中央値は、その割り算の答え合わせに使えます。
運動不足を解消したいだけなら、30分くらいからで足りることが多いです。食事の話と基本の動きを入れて、帰宅後に自分でも繰り返せるところまで持っていく、くらいの分量になります。ダイエットなら、トレーニングに加えて食事の確認が入るので、40分くらいを見ておいた方がいいでしょう。汗をかく時間だけでなく、何を減らして何を残すかの話が乗ってくるからです。
痩せるだけにとどまらず、女性ならモデルのような体のライン、男性ならマッチョ化といった本格的なボディメイクになると、60分以上から90分くらいが目安です。種目数が増え、セット間の休憩も必要になり、フォームの修正にも時間がかかります。短い枠に詰め込むと、刺激が足りないか、休憩を削って雑になるかのどちらかに寄りやすいのです。
基本の動きと、帰宅後に自分でも繰り返せる宿題までが現実的な分量です。汗をかくこと自体が目的なら、この長さからで始められます。
トレーニングに食事の確認が乗ります。何を減らして何を残すかをその場で整えるなら、30分だと足りなくなりやすいでしょう。
女性のモデルのような体作り、男性のマッチョ化など、見た目を作り込む目的です。種目・休憩・フォーム修正を入れると、60分以上から90分くらいが目安になります。
目安の分数が決まったら、次は1回の金額をその分数で割ります。見かけの「1回1,500円」より、1分あたりいくら払っているかの方が、店同士を公平に並べられます。式は次のとおりです。
1,500円のメニューが10分ちょっとなら、1分あたり150円です。東京の掲載中央値と同じなので、最安には見えません。本当に30分あるなら1分50円まで下がりますが、上で見た採算の計算どおり、その値段で30分を出すのは店舗側が持ちません。問題は、分数が出ていないまま1,500円だけが一人歩きすることです。
公式に分数が出ていない店は、この割り算ができません。カウンセリングの前に「1回は何分ですか」と聞いてほしいのです。目的に合う長さが返ってきて、1分単価も掲載中央値と比べられるなら、その数字は検討に乗せてよいでしょう。
広告の1回1,500円だけを見て地域最安だと判断する。分数が無いので、10分と60分が同じ「1回」として並んでしまう。
1回の料金 ÷ セッション時間 で1分単価を出す。目的に合う分数が確保できてから、掲載店の1分単価中央値と比べる。
体験やカウンセリングの場で初めて分数が分かり、その場の流れで本契約まで進めてしまう。
ホームページを見た時点で分数が分からない店は、予約の前に時間を確認する。出てこないなら、比較の土俵には載せにくいと考えてよいでしょう。
同じトレーナーに長く見てもらうことも、安さと同じくらい大事です。月の支払いが楽でも、担当が毎月代わるようでは、食事もトレーニングも積み上がりません。
GYM FINDERの方針
公式にセッション時間が公開されていないパーソナルジムは、評価を厳しくします。時間を公開していただければ、料金と時間の両方で公平に比べられます。金額だけが安く見える店を、自動的に上位へは上げません。掲載自体をやめるわけではなく、順位の付け方を変える、というのが今回の中身です。
店側には、公式サイトの料金の近くに分数を書いてほしい、というのがお願いです。書いていただければ、1回の金額だけでなく、1分あたりの単価まで並べられます。パーソナルジムを選ぶときは、「1回いくら」だけでなく「1回何分なのか」も見てほしい、というのが結論です。
料金の見方は、パーソナルジムの料金相場でも整理しています。選び方の順番は、パーソナルジムの選び方も参考になるはずです。GYM FINDERは、数字が見える店同士を並べるメディアであり続けたい、というのが運営の考えです。